ご挨拶

理事長 村松太郎
慶應義塾大学医学部 精神・神経科 司法精神医学研究室 室長
JDC六番町メンタルクリニック 院長
2024年12月の理事会で本学会の理事長を拝命いたしました村松太郎です。どうぞよろしくお願い申し上げます。
本学会は、「精神医療に関する法学・医学及びその実務の総合的研究ならびに研究者相互の協力を推進し、もって精神医療の充実と改善に寄与すること」を目的として、1986年3月に設立されました。それから40年余、本学会は、この理念を維持しつつ拡大し、法と医の対話の場として発展を続け、現在に至っております。
世に専門家集団としての学会は無数と言えるほど存在いたしますが、「法」と「医」という、本来は密接な関係にありながら、現状は異界といえるほど隔絶した関係にある二つの領域の専門家が本音で論じ合うことができる場である本学会は、他の学会にはない顕著な特長と将来性を有していると確信しております。会員の皆様におかれましては、学会のさらなる発展に向けて、引き続きご協力ならびにご指導・ご鞭撻をいただきますようお願い申し上げます。またHPにアクセスしていただきました非会員の皆様には、ぜひ本学会に入会いただき(入会お手続きはこちら)、新しい風を、それは涼風であっても暴風であっても大歓迎ですので、新しい風を吹き込んでいただくことを切望しております。
「法」と「精神医療」の、学術面・実務面の益々の発展と、それに伴う当事者の方々の恩恵に最大限に資することを目指し、皆々様のお力をお借りしつつ、これから3年間の任期を通し努力を続けてまいりたいと思います。どうぞよろしくお願い申し上げます。
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理事長通信
2025.9.10.
慶應義塾大学医学部 精神・神経科主催講演会の精神展開剤についての講演会を当学会で後援させていただくことになりました。精神展開剤(サイケデリクス psychedelics)は、従来の薬では効果が不十分であった治療抵抗性のうつ病やPTSDに対する画期的な治療薬として近年世界で注目が高まっており、我が国では慶大の精神・神経科が主導して臨床研究が進められています。本剤をテーマとする前回(シリーズ第1回「精神展開剤の現在と未来: 多角的視点から探る医療と社会の新たなる可能性」2025.5.24.)講演会の抄録に、その歴史から現在地、そして未来への展望までがわかりやすくまとめられていますので是非お読みください。また、NHK BSでも9月15日に「サイケデリック・ルネサンス 精神医療の最前線」と題された番組で本剤をめぐるトピックスが放映される予定です。
精神展開剤は、これからの精神医療を大きく変革し、難治性精神障害の方々に多大な恩恵をもたらすことが期待できる一方、専門家の管理のもとで適正に使われるという条件を満たすことが必須であり、そのための法整備が一つの大きな課題になることは確実で、本学会後援に至った経緯にはそうした背景があります。
2025.8.17.
今年の12月6日に京都で開催される法と精神医療学会 第40回大会のプログラムが決定いたしました。シンポジアムのテーマは「ストーカー対策の最前線」です。また、研究報告として、愛知大学法学部の小林真紀先生に「フランスにおける精神障害者の権利に関する一考察 --- 隔離・拘束をめぐる問題」、横浜市こころの健康相談センターの永田貴子先生に「横浜市における精神保健福祉法第34条による移送の取り組み」をご報告いただきます。そして広島大学名誉教授の横藤田誠先生からご講演「憲法から見た法と精神科医療 --- アメリカ法の光と影」をいただきます。プログラム詳細はトップページをご覧ください。大会実行委員長の東海大学法学部・柑本美和先生、会場校・京都大学法学部の安田拓人先生をはじめとする関係者の先生方のご尽力に深謝いたします。
2025.7.16.
法と精神医療学会 第40回大会特別企画オンラインシンポジアム「袴田事件 – 法と精神医療の視点から」の参加申し込み受付を本日10:00AMに開始いたしました。申し込み方法等詳細はトップページに置いたPDFをご覧ください。当日は村山浩昭先生・中島直先生にシンポジストとしてそれぞれ1時間のご講演をいただきます。質疑応答の時間も十分に確保いたします。歴史に残るシンポジアムとなることは間違いないと確信しております。是非ご参加ください。会員の先生方は参加費無料です。
2025.6.5.
2025年10月26日午後に、法と精神医療学会オンラインシンボジアムを開催することが決定いたしました。袴田事件をめぐって、再審制度について、また、拘禁に関連した精神状態についてなど、法と医の両面から論ずる予定で、ご登壇者はこのテーマに関しての圧倒的な第一人者であられる村山浩昭先生と中島直先生です。
村山浩昭先生は、2014年、静岡地裁で裁判長として、袴田事件の再審開始と袴田さんの釈放決定を出され、現在は再審法改正に向けて精力的に活動されている弁護士でいらっしゃいます。(弁護士法人法律事務所ヒロナカご所属)
中島直先生は、袴田さんの鑑定および釈放後治療に携わった最初の精神科医でいらっしゃいます。(多摩あおば病院ご所属)
お二人にご登壇いただくことで、当日は最高のシンポジアムを体験できることは間違いないと確信しております。詳細は後日にトップページでご報告いたしますが、日程は2025年10月26日午後と決定しておりますので、みなさまご予定いただければ幸いです。
村山先生と中島先生には、大変お忙しい中、本学会シンポジアムでのご講演をご快諾いただきましたことに深く感謝申し上げます。
2025.5.19.
松沢病院を訪問し、布村院長、齋藤名誉院長にご挨拶させていただくとともに、本学会の今井事務局長をはじめ、事務局を支えてくださる松沢病院の先生方と、これからの学会活動について、大変有意義な熱い議論をさせていただきました。深く感謝いたします。
2025.4.4.
昨日(2025.4.3.)、第1回あり方委員会(Kick off meeting)をオンラインで開催し、本学会の発展に向けて、委員の先生方からたくさんの貴重なご提言をいただきました。昨日のご議論を受けて、実現に向け鋭意努力を続けてまいりたいと思います。経過は適宜会員の先生方にお知らせいたしますので、その際にはご意見等いただければ幸いです。
2025.3.30.
学会誌のページ、長らく未完成のままになっていましたが、このほど、山本輝之前理事長にご支援いただき、1987年の創刊号から2024年の最新号(第38号)までの全巻の目次を掲載することができました。本学会の37年のあゆみが俯瞰できますので是非ご覧ください。
2025.3.12.
この度、理事会からご承認いただき、本学会内に「あり方委員会(仮称)」を設立いたしました。同委員会の目的は、本学会の今後のあり方を議論し、よりよいあり方への実現の道筋を作ることです。学会としての力を最大限に発揮できるシステム構築に向けて、委員会活動を開始したいと思います。学会員の先生方のご協力をどうぞよろしくお願いいたします。
精神展開剤の現在と未来:
多角的視点から探る医療と社会の新たなる可能性